2016/10/19

奇跡が積み重ねた美しいもの

展示会を終えて自分を振り返ってみたら
自分がやりたいこと、産地をなんとかしなくちゃいけないところが多すぎて
色々手をつけるんだけど、自分の力不足(そりゃそうだ)で何にもできていない状態なのに気がついた。
そりゃあだめだーーと思って
目線をもっと足元に持ってきて
じゃあ今何を一番やらなきゃいけないのかって思った時
布を作れる技術、知識をもっとつけることだな、と思って
今はそちらの方面にギュギュッと絞って毎日勉強してます。

早くも新作企画に入っていて、織物作るってやっぱすごいなと思う毎日です。

私は、ションヘルを動かすことと布を考えることをマスターしたいんですけど
どちらとも奥が深すぎてひえーーーって思います。
分業になる理由がわかった。

休憩〜と言って81歳になる機屋さんの岩田おじいちゃんとお茶(コーヒー)に行くと
私に的確なアドバイスをくれます。
10代から布を通してアパレル業界、繊維業界を見つめてきた岩田おじいちゃんは
今をしっかり理解し、今の布ももちろん熟知しています。

だってそれは70年近くの知識と技術。
そりゃあ濃密だし、そこにかけた時間は生活のほとんどでしょう。

そう思うと高い工賃は当然です。

本来ものづくりはそういうものだと思うのです。

ものを作って、お金を稼ぐということは
自分の生活の時間をかけて、そして知識を得るためにお金をかけて身につけ
それから自分の愛情を注いでものを作る。
お金を稼げるのは何十年後になるかもしれないけど続ける。



気にして世の中を見てみると
スーパーに並んでるものたち、CMで流れているものたち、コンビニのご飯も

その全てが何人もの人が作ったものだと気づきます。

ロボットで作っていようが、そのロボットは人間が作るのです。


じゃあなんでみんな安いのか?

誰かが安くしたらものすごく売れるでしょう。
じゃあこれも、これも、といううちに今まで人が作ってきたものの値段が下がっていきます。
バランスが崩れていくのです。
機械化して、なるべく少ない時間で大量に!
そうすれば安い値段に合ってくるのです。


そうして安い機械が作ったものに囲まれてしまった生活を過ごしていると
身の回りのものが人が作っているとは思えなくなってきて
人の気配がいなくなっていく気がします。


テリハエルの布は決して安くはありません。
企画を考え、織る工程は全て人とションヘルで時間をかけて作っています。
それも経験値4年ぽっちの私と60年の師匠と70年の岩田おじいちゃんの力作なのです。
師匠が仕事を始めてからまだ50年しかたっていなかったら作れない布かもしれない。
岩田さんがもう機屋をやめてしまっていたら作れなかった布かもしれないのです。
もちろん私が別の仕事をしていたら全然作ることはなかったでしょう。

そういう奇跡みたいなことが積み上がった布なので
とっても人の匂いが染み付いていると思います。

でもそれは今作る仕事をしている人に全部当てはまることだと思います。
人生をかけて作っているものに対して「安い」なんてことは言えません。

その人の匂いがぎゅーっと凝縮しているもの、そういうものが胸を打ち心がときめくと思うのです。
何よりも「生きているな」という感じがするし、そういうものを買うことで幸せが満たされます

作っている人がちゃんと適切な値段をつけて、それがちゃんと売れて
ちゃんと収入があれば、もっと美しく世界が回っていって、良いものがきちんと作れるのにな、

単純なことのように思えるけど今ではものすごく難しい


私がションヘルも企画もばっちりマスターしているかもしれない30年後ぐらいにはどうなっているんでしょうか
どんな状況になっていようともテリハエルの布は安くないだろうし
世の中も奇跡の積み重ねが産んだ美しいものがきちんとした金額で認められている世界だといいなあと思います







2016/10/09

cake展示会終了!










terihaeru展示会「cake!cake!cake!」が昨日で終了致しました!
お越しくださった方々ありがとうございました。
そしてセコリ荘宮浦家、play北原さん、流しの洋裁人原田さん本当にありがとうございました。
いつもお世話になっている師匠、機屋さんの岩正さん鵜飼さん、金ちゃんもありがとうでした!
東京も大阪も車で行ったのですごく心配かけちゃいましたがアクシデントもなくちゃんと帰ってきましたよ☆


布を「もの」とするか「材料」とするかは人それぞれですが、私はその中間でいいんじゃないかなと思います。
あやふやな存在だからこそ、どんな形にも変化して、人の暮らしに寄り添っている
いつも近くにいるから意識していないだけで、ちょっとでも布が気になったら多くの発見がある。

でもやっぱり布は布のままだと人のそばに行けないので、いろんなものに変わっていくのですが
そんな未完成のものを「可愛い!」って笑顔でたくさん言っていただいて、本当に嬉しかったな

ションヘルは毎日ちょこっとずつ経糸を準備して、張れたら次はちょっとずつ織る織機です。
一晩頑張ればなんとかなった!なんてことは存在しない
人生も一緒なんだよな
着実に産地の高齢化は日々迫ってきているけど、そこで焦って一晩二晩頑張ろうたって
その努力なんてものはそれはたった一晩二晩の努力であって
現状を打開できることはない
今できることは着実に1日1日勉強して技術を積み上げていくしかない
急にパワーがつくことはなくてちょっとずつちょっとずつ力がついてくる

今さらわかったのかよ!という声が聞こえそうですが今回きちんとわかりました!
コツコツ積み重ねていきます

そうまだ私は23歳〜
これからやんね!